大王の、使い途のごく限られた超能力


こどものときに好きだった食べ物が
恋しくなることってありませんか?
僕の場合、海苔玉弁がそのひとつ。
あまりに簡単すぎるのか、
ホカ弁屋のメニューでも食堂の丼でも見たことがない。
要はあったかいごはんに細かいカツオ節をパラパラ、
その上に焼き海苔を敷き、半熟っぽい炒り卵を載せるだけ。
これが好きなんですね。



(年賀状の残りを使って、大王しおり、作ってみました)


ところが問題がひとつあって、
焼き海苔をしまったタッパウェアーのフタを空けると、
必ず大王がいつの間にか足元にいる。
大王は焼き海苔が大大大好物。
盗み食いするとその後3回に1回くらいの割りで
尿道に砂(細かい石)が詰まり、即O動物病院行き。
放置すると48時間ほどで絶命するから
たかが砂、されど砂。
我が家に来てからも何度生死の境をくぐってきたか。


なので海苔玉弁当を作るときは
大王の居場所を確認して、
できれば寝こけているときがチャンス。
今夜は大王専用・ブルーのマイ座布団に
機嫌良く座っているのを確認していた。
しめしめ。タッパーウェアを空ける。
そぉっと焼き海苔を出す。
………


座布団があるのと別の方角から台所めがけて
大王がいそいそとやってくる。
もう、背筋がゾッとします。
焼き海苔にしか通用しない、
ごく限られた超能力なんですが、
自分を生死の境に追い込む恐れのある超能力なんですが、
確かにその力を大王は持っているようです。



(今夜のバージョンではほぐし紅鮭、枝豆天、
スナップエンドウおかか和え、赤カブ漬けをあしらってみました)



(焼き海苔をもらえないので同居人の寝床でもうふて寝?)