宇野弘蔵『経済原論』(岩波書店、1964/2016文庫版)


抱えている仕事をまずまず順調に進めることができ、
お盆休みも出社していたのできょうは年次休暇。
週末につなげて三日間のプチ夏休みとした。
本来ならいまごろ釜山にいたはずだ。
昼までグッスリ寝たから、
副会長には「凄い体力ですね。寝るにも体力が要るんですよ」
とからかわれるに違いないと思った。


経済原論 (岩波文庫)

経済原論 (岩波文庫)


資本論』を通読した今なら読めるかなと思い、
宇野弘蔵『経済原論』に挑戦。
2,000頁ほどある原著を1/10程度に凝縮して解説し、
なおかつ宇野の疑問は疑問として明確にする小冊子。
作家・佐藤優さんの助言通り、両書を並行して読むことで
資本主義の原理について理解が深まるのを実感できた。



(本邦初訳・高畠素之訳『資本論』全5巻、改造社、1927-28)


宇野は原著を経典のように一字一句全て正しいとする
マルクス主義経済学者には反対である。
マルクスと真摯に向き合い、異論は異論として提示する
マルクス経済学者の代表である。
原理論、発展段階論、現状分析論の三段階論に
宇野は議論を分け、説いていく。



(夏の鯛は我が家の猫たちにいまひとつ人気がない。小丼でいただく)


本書の最後で宇野は、
資本主義社会における「階級」について触れる。
ミステリー巨編を読み解いているような
知的興奮に囚われる。


2016年、およそ半世紀ぶりに
岩波文庫の一冊として復刊。
重要な基本書に関して岩波は頼りになる。


(文中一部敬称略)