スクラップブックから
2018年4月4日朝日新聞朝刊
後藤正文の朝からロック
「実現しない予言書」のはずが
数年前、出版社からの依頼で、
ジョージ・オーウェルの小説「1984年」の
文庫版に掲載する文章を書いた。
権力の行いに追随するように
ありとあらゆる文章を改ざんし、
不都合な史実の存在そのものを抹消する
「真理省記録局」なる機関で働く主人公。
彼が恋人と共にじわじわと追い詰められていく様子は、
思い出すだけで背筋が凍る。
(略)
- 作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: ペーパーバック
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そうだった。思い出した。
不都合な記録を徹底的に改竄、抹消する
政府の機関「真理省記録局」が小説『1984年』の舞台だった。
小説には、実際に起こってはならないことを、
先回りして書く力がある。
そこに書かれた悲劇を読むことで、
人々は悪夢のような事象とは何かを知覚し、
その到来を避けようと考える。
財務省の公文書改竄事件は、
小説『1984年』に究極のカタチで先取りされていた。
後藤はコラムをこう結ぶ。
憤りもせず、疑いもせず、
ささいな書き換えだと受け入れるならば、
「真理省記録局」の誕生は遠くない。
(ミュージシャン)