不都合な記録を改竄する真理省記録局


スクラップブックから
2018年4月4日朝日新聞朝刊
後藤正文の朝からロック
「実現しない予言書」のはずが



   数年前、出版社からの依頼で、
   ジョージ・オーウェルの小説「1984年」の
   文庫版に掲載する文章を書いた。


   権力の行いに追随するように
   ありとあらゆる文章を改ざんし、
   不都合な史実の存在そのものを抹消する
   「真理省記録局」なる機関で働く主人公。
   彼が恋人と共にじわじわと追い詰められていく様子は、
   思い出すだけで背筋が凍る。
   (略)


一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)


そうだった。思い出した。
不都合な記録を徹底的に改竄、抹消する
政府の機関「真理省記録局」が小説『1984年』の舞台だった。


   小説には、実際に起こってはならないことを、
   先回りして書く力がある。
   そこに書かれた悲劇を読むことで、
   人々は悪夢のような事象とは何かを知覚し、
   その到来を避けようと考える。


財務省の公文書改竄事件は、
小説『1984年』に究極のカタチで先取りされていた。
後藤はコラムをこう結ぶ。


   憤りもせず、疑いもせず、
   ささいな書き換えだと受け入れるならば、
   「真理省記録局」の誕生は遠くない。
              (ミュージシャン)



(文中敬称略)