柚木麻子『本屋さんのダイアナ』(新潮社、2014)


新作人気書籍を除けば、
かなりの種類の本が図書館で順番を待たずに借りられる。
気に入った作家の旧作を読むには具合がいい。
柚木麻子『本屋さんのダイアナ』(新潮社、2014)を読む。


本屋さんのダイアナ

本屋さんのダイアナ


主人公ダイアナの友人で、
12歳のときにふとした誤解からダイアナに絶交を告げた彩子。
何不自由なく育てられ共学の大学に入り、
誘われたサークルで飲めないお酒を飲み、
ほのかに好意を寄せていた先輩にレイプされる。
なんだか暗澹たる気持ちになって、
先を読むのがつらくなった。



翌日気を取り直して続きを読むと、
そこはストーリーテラーの柚木、
予想を超えた展開を読者に次々見せていく。
伏線の一文は張ってあった。


   ダイアナも彩子もあの時はまさか、
   次に言葉を交わすのが十年後だなんて思ってもみなかった。
                          (p.79)


嘘くさいハッピーエンドでなく、
抑制された明るさの読後感が過不足なくて心地いい。
たくさんの読者が柚木作品を待ち望むのがよく分かる。


本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)



(書下ろし最新作が出ましたね!)
wikipedia:柚木麻子