お互い「いい顔つき」で進みましょう(増田明美)


スクラップブックから
讀賣新聞2018年5月9日朝刊
「人生案内」顔に奇形の痕 気になる
(神奈川・E子)



   60代女性。
   唇に生まれつきの奇形があり、
   自分の写真を見ると落胆します。
   (略)


   女にとって顔は命だと思い、
   もう一回手術したいと考えることもありますが、
   術後の痛みがつらいため、決心はつきません。
   夫は、気にしなくてもいいよ、と言っています。
   (略)


   残りの人生を悔いなく生きるには
   どうしたらいいのか。
   顔が気にならなくなるにはどうしたらいいのでしょうか。


もし誰かからこんな相談を受けたら、
自分ならどうするだろう。
相手にかける言葉が見つかるだろうか。
増田明美さん(スポーツ解説者)はこう語り出す。


   ご主人にすごく愛されているのが
   文面から分かります。
   ご主人はあなたの口のことなど気にならないくらい、
   あなたの内面に惚(ほ)れたのでしょうね。
   (略)


僕が驚いたのは、これに続く言葉。
増田さんは自分の体験を隠さず語る。


   私は若い頃、不美人の女性役をドラマで演じました。
   仕事の依頼を受けた時に両親は反対しましたが、
   「人は持って生まれた顔立ちよりも、顔つきが大事」
   というテーマになるほど!と思ったからです。
   

   主人公は器量は悪いけど、
   笑顔を絶やさず、明るく元気なので友達がいっぱい。
   最後は幸せを手に入れます。


そして、こう締めくくる。


   長い年月をかけて、生き方は顔に表れますからね。
   人生100年時代、お互い「いい顔つき」で
   進んでいきましょう。



この小欄のタイトルは
「人生相談」でなく、「人生案内」。
悩める相談者に送る増田さんの言葉にはいつも感心する。
こういう能力を持ち、他人のために使える人もいるのだ、
とあらためて気づく。
「お互い」という言葉が最後にさらりと出るのも素敵だ。