宮下奈都『終わらない歌』(実業之日本社、2012)


続編を読みたくて、
駅向こうのK図書館本棚で見つけて借りてきた。
成功した作品ほど続編を書くのは難しいように思うけれど、
この小説は期待以上の展開を見せてくれた。
宮下奈都『終わらない歌』(実業之日本社、2012)を読む。


終わらない歌

終わらない歌


それぞれ複雑な思いで入学してきた女子高のクラスメートたちが
最後にコーラスで心をひとつにして輝く。
(…と要約だけ書くと青春物語のようだけど)
それが前作『よろこびの歌』のラストシーン。


登場人物のある者は大学に進学し、
ある者はアルバイトに励みながら舞台をめざす。
大事に育ててくれた養父母の元を離れ、
縁もゆかりもなかった街で就職した者もいる。


宮下の文章にはいつも音楽が流れている。
ヘンデル。ザ・ハイロウズ。Three Dog Night。ザ・ブルーハーツ
本編の最後にこうある。


   「敬愛する楽曲に心から感謝します。
   たくさんの力をお借りしました。著者」


宮下は第三作を書く予定はないらしい。
読者ひとりひとりの胸の中で、
登場人物たちのその後の物語を想像するのもいいだろうね。