佐藤優・片山杜秀『平成史』(小学館文庫、2019)

二人の相性がよほどいいのだろう。
読み進むほどに楽しくなってくる一冊だ。
佐藤優片山杜秀『平成史』(小学館文庫、2019)を読む。


平成史 (小学館文庫)

平成史 (小学館文庫)


丁々発止の二人の対論はもちろんだが、
文庫とは思えないほど充実した構成が本文を支えている。
年表、脚注、ブックリスト、シネマ&ドラマリスト。
読了後、保存資料として必要に応じて参照できる。
構成としてクレジットされている山川徹の仕事だろう。


片山は「文庫版まえがき」で
平成史を「オウム史」に絡めてこう書いている。


   平成の終わる前に、新天皇即位に伴う恩赦があるとしても、
   そこにオウム真理教の死刑囚の問題を絡めたくないので、
   改元前、少し早めに死刑執行してしまうのは、国家の論理として当たり前。
   昭和の終わりに生まれ、平成の終わりに死す。
   平成史はこのように「オウム史」としても語れてしまうのです。
                              (p.007)


一方佐藤は「文庫版あとがき」をこう締めくくる。


   平成時代の特徴は、日本が戦争の直接的当事者にならなかったことだ。
   この伝統を次の時代にも引き継ぎたい。
   本書に私はそういう想いを込めた。
                           (p.526)


本書は2018年4月に単行本として刊行。
文庫版新章として「平成が終わった日—平成30-31年(2018年-2019年)」を収録。
単行本を持っている読者の中には
この新章、文庫版まえがき(片山)、同あとがき(佐藤)を読みたいために
文庫を購入する人もいるだろう。


f:id:yukionakayama:20190720212033j:plain:w500


僕は発刊記念トーク・ライブ(新宿・紀伊國屋書店ホール)に申し込み
二人の署名入り文庫を購入した。
片山さんのサインが壮絶ですね。
トランプ大統領の署名(写真下)といい勝負です。


f:id:yukionakayama:20190720213557p:plain:w350


佐藤さんのサインはなんだか可愛らしい。
素顔の人柄が出ている感じです。
佐藤さんの署名本、2冊目になりました。
(1冊目はメルマガ読者プレゼントで当選した『外務省犯罪黒書』)


外務省犯罪黒書

外務省犯罪黒書

平成史

平成史