クリッピングから
NHKテキスト2022年12月「100分de名著/中井久夫スペシャル」(講師:斎藤環)
<第4回 精神科医が読み解く「昭和」と「戦争」>から引用する。
多くの方が読みやすそうだと感じるのはエッセイだと思いますが、
実は私には精神医学の論文から読み始めることを
おすすめしたい気持ちもあります。
中井は専門論文であってもほとんど専門用語を使っていません。
もちろん内容の専門性は高いのですが、
医学の知識がなくても問題なく ”読める” 文章が多いのです。
また、エッセイは主に六十代以降に書かれたものですが、
それより前の四十代、五十代のときに書かれた論文は
文章の切れ味が抜群で、伝わってくるテンションがまったく違います。
この当時の文章は、私が見るところ、
日本語による最もみごとな科学と詩の共鳴混成体でした。
ぜひ専門論文にも手を伸ばして、
中井の文章の凄みを味わっていただきたいと思います
(ちなみに専門論文の多くは、
ちくま学芸文庫の「中井久夫コレクション」に収録されています)。
(pp.118-119)
放送はEテレで12月の毎週月曜22:25-50(各25分)他(再放送あり)。
(講師と與那覇順の共著。第19回(2020年度)小林秀雄賞受賞作品。
選考委員は片山杜秀、國分功一郎、関川夏央、堀江敏幸、養老孟司の5人)
(講師と佐藤優との共著)