クリッピングから
東京新聞2020年11月2日朝刊
読者投稿欄「あけくれ」
お弁当 高田瞳さん 36歳 パート 千葉県船橋市
筆者のパート先での昼休み。
同僚とのちょっとした会話が聞こえてきました。
「お弁当、おいしそうですね」
パートの昼休み、
そばを通りかかった同僚の女性に声をかけられた。
この日は沖縄の「じゅーしー」風に、
豚バラを使った炊き込みご飯がメイン。
キノコを入れて秋らしさを加え、
仕上げに粗びき黒こしょうをふった。
「そうそう、これ、とってもおいしいの!」
と恥ずかしげもなく言ってしまった。
彼女はスマホで「じゅーしー」を検索しながら、
「それ、作ってみたいなあ」とも言ってくれた。
向こうとしては、ほんのあいさつ。
それは百も承知しているが、素直にうれしかった。
もう、有頂天だった。
こんなに感激するのは、
結婚前は、ゆで卵も作れなかったという「黒歴史」があるからだ。
それが十年続けているいるうちに人並みにこなせるようになるなんて、
まして家族以外の人に「おいしそう」と言われる日がくるなんて。
十年前のあたふたしていた自分に、今日のことを伝えたい、
と思い炊き込みご飯を頬張った。
高田さんの同僚はお世辞でなく、
「じゅーしー」風豚バラ炊き込みご飯にチャレンジするかもしれませんよ。
食いしん坊だったら、きっとやるな。