讀賣新聞「編集手帳」が紹介した小話が気に入って
同じ著者の前作を借りてきた。
名越健郎『ジョークで読む国際政治』(新潮新書、2008)を読む。
「はじめに」から引用する。
アネクドートの語源は
ギリシャ語の「アネクドトス(地下出版)」から来ており、
帝政時代からロシアの伝統だった。
スターリン時代には、政治小話を口にしただけで逮捕され、
収容所送りになった記録もある。
それは、社会主義の矛盾や抑圧を温床として、
旧ソ連・東欧圏で生活の一部となり、
遂にソ連を崩壊に追い込む陰の原動力となった。
アネクドートこそ、抑圧された民族が
命懸けで育てた口承文学と言えるかもしれない。
アネクドートの世界で筆者の恩師だった
作家兼同時通訳者の故米原万里さんは
ロシア式アネクドートの真髄について、
「視点を一気に相手側にずらす」「悲劇も喜劇も紙一重」
「木を見てから森を見せる」「権威を笑い飛ばす」
にあると喝破していた。
「意外性と機転、マクロとミクロの反転、詐欺にも似た錯覚」
(米原さん)がすぐれたジョークを作るコツであり、
それは世界の政治ジョークに共通する。
(pp.5-6)
(「編集手帳」が引用したのはこちらの続編から)
(こういう人を「インテリ」と僕は呼びたい)