いつものポストにぽとりと落とす(安田渓子)

クリッピングから
讀賣新聞2022年5月30日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  故もなく兆す安らぎ子への便り
  いつものポストにぽとりと落とす

         青森市 安田渓子

    【評】「ポ」と「と」の重なりで下の句に生まれたリズム。
       それがルーティンの安心感と相まって心地よい。


  春風は絵具を持って春雨は
  絵具を溶かし五月を描く

      京都市 五十嵐幸助

    【評】なるほど、絵具を用いるには水が必要だ。
       春の風だけでなく、春の雨を忘れずに
       参加させているところで心憎い。


安田さん、五十嵐さん。
どちらの歌も万智さんの評に助けられて
読みが深まりました。


  競馬場の駅で降りそうな人降りて
  しっかり当ててくれよと思う

           東京都 浅倉修


川柳のような味わい、嫌いじゃありません。
下の句がいいですね。
作者も競馬をやるのかな。