コピー機に灯台のごと照らされて(大津 穂波)

クリッピングから
讀賣新聞2022年12月12日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  コピー機灯台のごと照らされて
  ひととき海を思い出すレシピ

        大和郡山市 大津 穂波


    【評】コピー機が光る様子を、灯台とした比喩が鮮やかだ。
       コピー中のレシピは魚介類の何かだろうか。
       そんな想像も楽しい。


  旅先の旅が途切れるローソンの
  中にいるけど我は旅人

      守口市 小杉 なんぎん 


    【評】どこに行ってもあるコンビニの便利さを、
       旅の感覚を途切れさせるものとしてとらえたところが面白い。
       結句は、それでも自分は旅人であることを
       キープするぞという気概だろう。
       ますます面白い。


  針金で遊ぶみたいに感情を
  くねくね曲げる泣かない方へ

       高島市 宮園 佳代美 


    【評】なんとか感情をコントロールしようとする感じが、
       針金の比喩で伝わってくる。
       感情の種類を、結句まで明かさないところもいい。