クリッピングから
讀賣新聞2023年12月25日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。
あやとりはやっぱ赤色ジグザグの
東京タワー建てて壊して
豊中市 葉村 直
【評】やっぱ赤色という勢いのある断言に、
下の句で大いに納得させられる。
糸のやりとりの過程を、
東京タワーに合わせて建築と破壊で表現した結句が楽しい。
脱毛のわれに帽子を選びゐる子は
楽しげにラメ入りを指す
熊谷市 林 邦子
【評】楽し気な表情も、派手なラメ入りを選ぶのも、
子どもなりの励ましなのだろう。
描写だけで成り立つ一首だが、
親子の互いの心情が伝わってくる。
言葉より深く心を通わせた
犬の姿の家族であった
春日部市 宮代康志
【評】「家族のような犬」「犬は家族」といった言い方よりも
一歩踏み込んだ表現だ。
散文的な結句に、しみじみした迫力が宿った。
今週のもう1首。
8月から俵万智先生担当欄に
週1首投稿する目標を立てて初掲載となりました。
うれしいです。
筆名はもちろん「大王グループ」です。
トンネルの向こうに明かりが点くように
ゴミ出しをして今日をはじめる
東京都 大王グループ
(うれしかったので拡大して再掲載)
(この2冊が僕の短歌の教科書。読者の投稿作品を万智さんが添削・解説します)