ひと夏をかけて遠泳するように(古谷真利子)

クリッピングから
讀賣新聞2022年10月3日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  ひと夏をかけて遠泳するように
  小さくなりぬ窓のあさがお

        狭山市 古谷真利子


    【評】勢いよく咲いていた盛夏のころとは違い、
       だんだんと小さくなる朝顔の花。
       時間の経過と遠近法を組み合わせた表現が、魅力だ。
       夏と遠泳とあさがおが縁語のように響き合う。


  有明の海をグラムで再現す
  あさりに砂を吐かせるために

         大阪市 toron*


    【評】生育環境と同じ塩分濃度で、貝は砂を吐く。
       グラムで再現というところに、
       死に向かうあさりへのせめてもの思いが感じられる。


風景が目に浮かんで楽しかった歌。
和田さん、小さかったんだな。


  五十音順に並べば和田さんが
  最後列でぴょんぴょんしてる

         豊中市 葉村直