自分の老いや ”おっくう” と闘う毎日でした(草笛光子)

クリッピングから
讀賣新聞2024年6月11日朝刊
<広告> 雑誌「ハルメク」7月最新号Special
90歳をおもしろがる草笛光子さんの流儀



  昨年90歳を迎えてなお第一線で活躍する草笛光子さん。
  50代からの女性のための雑誌「ハルメク」は、
  創刊以来たびたび草笛さんにインタビューを行い、
  これからの人生を楽しむ秘訣を読者に届けています。

  最新号では、今月21日に公開を控える主演映画のことや、
  「おっくうとの闘い」という老いについての思いなどを
  草笛さんに伺いました。
  ここでは誌面で語りきれなかった内容を特別にご紹介!


  ーー2か月の撮影期間は。


  自分の老いや ”おっくう” と闘う毎日でした。
  なりふりかまっていられません。
  90歳なんてちっともめでたくないと思いながら撮影していました。
  しかし、支えてくれたスタッフや共演者の皆さんのおかげもあって、
  闘いに勝利できました。


  ーー「老いとはおっくうとの闘い」とよくおっしゃいます。


  ここからあそこに行くのもおっくうです。
  動かない体を動かすのがほんとに大変なんです。
  朝起きるときもそう。
  もう指から動かすしかしょうがない。

  指を動かして腕が動いたら、
  今度は足をうごかして。
  そうやって順番に体を起こして、
  自分をだましだましして、やっと立ち上がるの。


  ーーそれにしても美しい姿勢と身のこなしをキープしています。
    73歳のときから週1回のパーソナルトレーニングと、
    腹筋やストレッチの日課を続けています。


  これからも舞台に立ち続けるためには体力をつけなければ、
  と危機感をおぼえたのがきっかけです。
  長い付き合いのトレーナーとは、
  しょっちゅう『やれ』『やだ』なんてけんかしていますが、
  ちゃんと怒ってくれる人がいるから20年近く続けられているんでしょうね。
  ありがたいことです。
  私は一人だとすぐにサボってしまう方なので。


  ーー昨年90歳を迎えました。


  人生の終わりが近づいて、夜中にふと
   "私、いつこの世からいなくなるのかな”
  と思うことあります。
  だけど暗くなるような考え方はしたくないから、
  どうやったら90歳を楽しくいられるか、
  おもしろがっている自分もいます。
  (略)

  ここまで年を重ねてきた喜びも悲しみも、
  寂しさも、誇らしさも、すべてを受け入れて、
  自分を明るくリードしていくことが
  大切なのではないかと思っています。