勉強と趣味の読書、体を動かすことの三つを交互に組み合わせる(海原純子)

クリッピングから
讀賣新聞2024年6月11日朝刊
人生案内 趣味の読書と勉強両立に悩む


  中高一貫校に通う10代の女子生徒。
  趣味は漫画や小説を読むことです。
  一度読み始めると止まらなくなり、
  メリハリをつけて、
  勉強と趣味を両立させることができず悩んでいます。

  周りの同級生は勉強熱心で、
  私もそのような優秀な人たちに追いつきたいと努力しています。
  最近は、「自分もいい成績をとらなくては」という思いから、
  読みたい気持ちを抑えて勉強しています。

  漫画を読んでいると、遊んでいるように感じられるため、
  好きな漫画の続刊は買わないようにして、
  持っていた漫画は古本屋に売りました。
  通学時や休憩時間に小説を読むこともやめ、勉強しています。
  
  親からは「少しストイックすぎないか」と言われました。
  私も、心の片隅では「もう少し漫画や小説を読みたい」と感じています。
  趣味の読書と勉強を両立し、
  メリハリのある生活を送るにはどうすればよいですか。

                       (愛知・N子)


  いい成績をとるために必要なのは、
  勉強にかける「時間」ではなく、「質」を高めることです。
  勉強する時間を多くするのではなく、
  勉強するときの集中力を上げる方法を習得することが大事です。

  人が集中できる時間はそれほど長くはありません。
  勉強する時間を、例えば1時間半と決め、
  その時は完全に没入して勉強する。
  その時間が終わったら、20分ほど小説や漫画を読む。
  そのあと、10分ほど散歩したりストレッチしたりして体を動かす。

  このように勉強、読書、運動の三つをセットにして行うと、
  脳の異なる部分と体を使うことができて、
  リフレッシュしながら集中の質を高めることができます。
  ひらめきやアイデアもその方が生まれやすくなると思います。

  勉強だけしていると脳と体の一部分だけに疲労がたまり、
  一度漫画を読み始めると止まらない、となりがちです。
  試験の前などは、時間の配分を自分なりにアレンジしてみてください。

  勉強と趣味の読書、
  体を動かすことの三つを交互に組み合わせることは、
  今後あなたが成長して仕事を始めたり、
  家庭を持ったりした時にも役に立つと思います。

                      海原純子心療内科医)