生キ残レ 少年少女


作曲家の桜井順さんから電話があって
「野坂さんの本を送ったよ」と言う。
はて、新刊か、と思っていたら、
1989年に出版された『生キ残レ 少年少女』が、
岩波現代文庫で復刊したのだった。
(カバー 和田誠さん)



「檄」のタイトルで解説した桜井さんの檄文を読むだけでも
定価900円の何割分かの値打ちはある(と、僕は思う)。
食にこだわり、農にこだわり、米にこだわる
野坂昭如さんの原点がここにある。



(↑ちょっとセクシーな大根ができました)


秘湯会にとっても食の安全は最重要課題であり、
わずか5坪の都心の土地だが、
農薬、化学肥料を使わず
有機肥料だけで野菜を栽培し始めて、はや7年目になる。


さすがに仕事をしながらの身では
稲作までは挑戦できないが、
野坂さんの気概を理解できる下地くらいは
多少は持っているつもりだ。



(↑5.4kgのカリフラワーから同居人が作ったピクルス)


それにしても戦後の飢饉を体験した世代はまことにしぶとい。
おのれが体験した事実を下敷きに
信じるメッセージをうまずたゆまず世間に届け続ける。
僕たちは飽食の世代と揶揄されることが多いが、
この根性はおおいに見習いたい。


もうじき待ちに待った年末年始の休暇がやってくる。
順さんの解説を読むだけに終わらせないで
野坂さんの本文をしっかり読んでみようと思う。


生キ残レ少年少女。 (岩波現代文庫)

生キ残レ少年少女。 (岩波現代文庫)