竹輪・上天と経済法則


正月に徳島に住む義父に電話して
かまぼこ処・水穂の竹輪、上天を送ってもらえないかとお願いした。
この店の竹輪、テンプラ(関西では関東で言う薩摩揚げをそう呼ぶ)は
僕がこれまで食べた「サカナ練り物ランキング」でも
少なくとも準決勝、つまりベスト4には進出する実力なのだ。



同居人はそのまま生で食べる。
もちろん、おいしい。
僕は軽く炙って、秘湯会の畑の大根をおろし、
阿波徳島のスダチをしぼり、
醤油をちょいとたらしていただく。
これは間違いなくおいしい。



特上竹輪が20円値上がりして200円。
上天も同じく20円値上がりして120円。
義父の情報によれば
特上竹輪は作り置きしていても売れ残るリスクがあるので
すべて注文生産になった。
一方上天は、売れる見込みが立つのか、
ストックを切らさず置いている。


市井の人たちの財布のヒモは
たとえ20円といえども開いたり締まったりする。
経済が人の「気」を左右している。



右を向いても左を見ても大不況の文字が踊る。
誰しも財布のヒモをしっかり締め直して
なるべくお金を使わないようにしようと思う。
一方、仕事になれば、新しい価値やサービスを生み出し
なんとかお金を使っていただこうと
みなで知恵をしぼり、行動を見直す。檄も飛ぶ。


プライベートの自分と仕事の自分のギャップが
大きくなればなるほど、経済はうまく回らなくなる。
お金を使いたくない自分を
お金を使ってもらいたい自分が
あの手この手で誘惑し挑発し説得する。
経済は景気であり、「気」が支配している魔界の領域なのだ。



義父には水穂の御礼に二種類の獺祭(だっさい)を送った。
山口の山奥の小さな倉が作った
実にうまい日本酒である。
原材料の山田錦をぜいたくに精白し味わいがすばらしいが、
流通の仕組みを工夫して
リーズナブルな価格に押さえて客に届けている。


http://asahishuzo.ne.jp/



成功している仕事は経済法則に逆らうことはしない。
しかし経済法則のみに支配されることなく、
他人に喜んでほしいという
そもそもの志を失わず実現する仕事こそ
真の成功に値するのではないか。


ただ、己の金儲けだけうまくいくことを望むなら
なんのための人生であり、
なんのための会社だろうか。