盟友の客死


夜中に同居人から第一報を聞き、
夜が明けるとニューヨークの元同僚Tからメールが入っていた。
20年来に及ぶ僕の盟友Fがニューヨークで客死したことを知った。
突然の死を僕はうまく受け止めることができない。
一緒に旅行していた奥さん、お嬢さんはなおのことだろう。



せめての慰めは、
盟友が最愛の家族との旅行中に
さして苦しんだ様子もなく、
死後の面倒を助けてくれる元同僚がいる土地で客死したことである。
もし盟友の寿命がこの日で尽きることが決まっていたのだとしたら、
悪い死に方ではなかったと僕は思う。



デジタルノートに書くべき内容ではないとは思ったが、
盟友の死をうまく受け止められない自分の混乱を
きょうはそのまま記し、記憶と記録に留めておきたい。
文字にしたためなくてはいられぬ性癖は
僕の業であるかもしれない。
が、こうしておけば、僕がこの世を去った後も
サーバのどこかにFの記憶のかけらが残ることになる。



Fよ、いずれ僕もそちらに行くぜ。
でも、僕はゆっくり行くよ。
君とSさんを新橋に案内し一杯ご馳走する約束が
果たせぬままになってしまった。
そちらでつまみのうまい、気取らぬ店でも見つけて
気長に待っててくれ。
再会した時には互いにまた毒舌に花を咲かせようや。