イビチャ・オシム『考えよ!』 (2010)


ワールドカップ南アフリカ大会が終了してから
読もうと思っていた本がある。
イビチャ・オシム
『考えよ!ーなぜ日本人はリスクを冒さないのか?』である。
まだスペイン対オランダの決勝戦は残っているが、
おおかたの日本人にとってワールドカップは終わっている。



さっそく腰巻きが新しくなっていて、


   名将の南ア杯予想的中!
   岡田ジャパン勝利の理由


とある。目下、12万部を突破したところだ。


日本代表監督を辞任してからも
サラエボオシムのところには
日本のメディアの人間がひんぱんに出入りしている。
ジーコトルシエに聴く以上に、
みんな、オシムの意見を聴きたいのだ。



Twitterを使いながら日本代表の試合を観ていたときに
ときおり誰かがオシムの言葉をツイートしてくれる。
オランダ戦だったか、本田がシュートに失敗したとき、
がっかりする僕たちを尻目に、


   左をよく見ろ。もうひとり選手がいただろう。
   ビデオをよく見直せ。


などとオシムの言葉がツイートされる。
本人の言葉かどうかは確かめようはないが、
なるほど世界で闘ってきた監督の視点がそこにあると思い、
僕は感心した。



   私は「自分で考えること」「速く考えること」を
   ピッチ上で求めるが、
   どんな状況下に置かれても、
   的確な判断と、創造力豊かな判断を身につけるためには、
   こういう感情コントロールが不可欠になってくる。


                         (p.170)


例えばユース世代の育成についてオシムはこう発言している。
ピッチ上の話と断ってあるが、日本社会の課題、教育問題、
そして私たちがグローバル・プレイヤーになるための洞察、ヒントが
本書のあちこちに書かれている。




   走りながら素早く考えろ!
   サッカーとは、そういうゲームだ。
   走らないで成功はできない。
   走らなかったことで負けることは悲しいことではないか。
   相手に、それ以上の知識や力があったとしたならば別の話だ。
   しかしサッカーにおいて「走らない」ということは、
   恥ずかしい行為なのだ。


                        (p.111)


「自分で考えること」と同時に「速く考えること」は、
僕たちの意識や行動を変えるときのキーワードになりうる。
「走りながら」「自分で」「速く」考えるのだ。


wikipedia:イビチャ・オシム