道案内してくださる方に出会えると、
未知だった森の入り口、全体の見取り図が手に入ったような気持ちになる。
NHKテキスト「100分de名著/折口信夫『古代研究』」
(講師:上野誠)を読む。
「はじめに」(「実感の古代学」で日本文化のルーツを探る)から引用する。
折口にとっての「古代」は、歴史区分ではなく、
あるものが生まれてくる「瞬間」を指す言葉だったのです。
つまり、「時間」を超えた概念だった。
言い換えれば、あらゆるものについての根源、
のような捉え方だったといえるでしょう。
(略)
近代以降、徐々に「科学」が「神」の立場の取って代わっていった。
そんな時代において、「日本人にとって、神とはどういうものか」
という本質的な問いを、熱心に、時に執拗(しつよう)に考えたのが
折口信夫という学匠でした。
(略)
折口の学問を理解するのは、疑問を持つことなく、
ひとまず自分の体の中に収めてみることから始める方がいい。
つまり、「信じること」が大切になってくる。
その意味では、近代的学問というよりも、芸道に近い。
(略)
(pp.6-12)