上野さんも私も「老人の性」にこだわった(ディレクターY)

クリッピングから
Eテレ「100分de名著」サイト
2021年7月19日掲載
ディレクターYのこぼれ話/ボーヴォワールの娘たち



ディレクターYの「こぼれ話」から引用します。


  以前からこの番組のファンであり、
  上野千鶴子さんが指南役になって、
  フェミニズム系の本をずばっと解説するのがやりたかった。
  企画提案したのは2年ほど前で、
  「老い」に決まったが、そこからが結構長かった。
  (略)


  この時、上野さんも私もこだわったのが、「老人の性」だ。
  「老い」では、性に関する記述はそう多くない。
  通常なら「性」で1本分を作ることはしないだろう。
  どこかの回のワンコーナーとして「老人の性」に触れる。
  しかし、著者は「第二の性」を書いたボーヴォワールなのだ。
  (略)
  結果、3夜目は「老いと性」になった。


  上野さんが「老い」のなかから切り出してくる言葉
  ー男の子は彼のペニスに第二の自我を見いだすーも強烈であり、
  そもそもそれを書いたボーヴォワールも強烈だった。
  構成を書いていて、「放送できるだろうか」と心配になるほどだった。


  そして、スタジオ収録。
  伊集院光さんと上野さんとのトークは熱を帯び、
  予定時間を大きく上まわった。
  (略)
  

  「老いの性」がテーマであったのに、
  いつのまにか「性」そのものについて語ることになった。
  伊集院さんががっつり向き合い、正直に話す姿に敬服した。
  この白熱した空気を少しでも届けられたらと思う。
  (略)


プロデューサーAの「こぼれ話」と併読すると、
「放送の舞台裏では、そんなことがあったのか」
と制作過程を覗き見する楽しさがあります。