ある祝祭時間の失望


出向元である汐留の会社に用事があり、
昼ご飯を中途で取ることにする。
1月の火事で灰になってしまった韓国料理屋Kが
歩いて7、8分の場所に移転したことを知ったので
行ってみることにした。



久しぶりに再訪したKで二階の席に座った。
昼の時間を大分過ぎていて二階の客は僕ひとりだった。
女性店員に確認すると、それでも構わないと言う。
ほどなくインタフォンで一階の男性店員が
二階の女性店員を怒鳴りつける声が聞こえてきた。
僕を二階に通したことを叱っているらしい。



注文したスンドゥプは以前よりずいぶんと辛い味付けで、
あんなに仲間を怒鳴りつける人が作っているなら
味が不安定になるのも無理はないと思った。
料理は人を幸福にする気持ちがなければ
不思議とおいしくはならないものだ。



たぶん、僕は二度とKに行かないと思う。
昼食は働く人間にとって、
限られた祝祭の時間であり、
身体をつくる養分を補給する時間だ。
その大切な時間を、不快な気分で過ごそうと僕は思わない。



僕一人が行かなくなったって
人気店であるKの商売には露ほどの影響もないだろう。
けれど、移転先をネットで調べてまで再訪したひとりの客を
ぞんざいな態度で失望させるのは
商売人としてもったいないことだなぁと思うのだ。