どうも以前「文藝春秋」で、
村上春樹に関する原稿だったかを読んだときの印象が
よほどよくなかったのか、
存在は知っていたが、読まず嫌いだった。
周囲の評判が上がれば上がるほど、
僕にはへそ曲がりの性分があるので、
いっそう無視することに決めていた。
ひょんなことから手に取り読むことになった。
内田樹『街場のメディア論』。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/08/17
- メディア: 新書
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いやぁ、おもしろかった。
凡百のメディア論と一線を画し、
自分の思考を貫くところが本当に面白かった。
(ごめんね、haruharuyさん。
ずいぶん前から内田樹はいいってブログに書いてくれていたのにねぇ)
メディアとは「ありがとう」という言葉。(p.203)
書物の価値は即自的に内在するのでなく、
時間の経過の中でゆっくりと堆積し、
醸成されてゆくものだと僕は思っています。(p.187)
僕はネット上で公開した自分のテクストについては
「著作権放棄」を宣言しています。引用も複製も自由です。
別に僕の許諾を得る必要はありません。
(中略)
それは僕にとって、書くことの目的が
「生計を立てること」ではなく、
「ひとりでも多くの人に自分の考えや感じ方を共有してもらうこと」
だからです。(p.135)
内田が本書で展開する思考・論旨は、
インターネットにおけるソーシャルメディアの興隆を読み解くのに
役立つ予感がする。自前でもう少し考えを深めてみよう。
僕はこれまで内田樹のなにが気に入らなかったのだろう。
なにを受け入れたくなかったのだろう。
内田の思考を借りれば、
今が僕にとって内田の著作が読み頃であるように思える。
そのタイミングに「ありがとう」と感謝したい。
(文中敬称略)