時代の逆風に挑戦する宿「きらくや」


磐梯熱海はさびれた温泉町である。
規模の大きい旅館、ホテルが30軒ほど並んでいるところを見ると
かつては繁盛していた時代もあったろう。
「きらくや」は時代の逆風に挑戦している宿である。
1996年に社長が低価格の朝食付温泉旅館に
経営方針を切り替えた。



朝食は料金に含まれバイキング方式。
食後のコーヒーは休憩室で自由に飲める。
夕食は事前注文もその場の注文もできるし
外に食べに出かけてもよい(ただし、店の数は限られる)。
仲居さんは置かずに布団は客が自分で敷く。
その代わり片付けは宿の従業員がやってくれる。



伊豆の殿様が「熱海」の名称使用を許したほど湯質はよく
24時間、気がねなしに温泉が楽しめる。
源泉である「ぬる湯」がとりわけ素晴らしい。
水は深沢の名水。
水割りにも、酔い醒ましの水にも大変よろしい。



これで三人一室、朝食付きでひとり6,800円である(夕食代は別)。
前日にフロントで申し込めば
チェックアウトを12時まで無料で延長してくれる。
夕食メニューの内容と
アルバイトらしき若者たち男女の動きに改善の余地はあるものの、
新時代をサバイバルできる可能性がある宿だ。




昼食はひとつ隣の駅「中山峠」にほど近い「鞍手茶屋」に行く。
鰊山椒漬け、漬物盛合せ、
ごろへいもち(炙った油揚げとネギを細かく刻んで餅にまぶす)で
熱燗をひとりあて二合呑む。
仕上げは店の看板料理、けんちんうどん。
野菜たっぷりで、これだけでもりっぱな一食になる。
1,050円は納得。




きらくや 郡山市熱海町
024-984-2130