高崎卓馬『表現の技術ーグッとくる映像にはルールがある』(2012)


高崎卓馬『表現の技術ーグッとくる映像にはルールがある』を読む。
主に若手の企画制作者や
そうした仕事を希望する学生たちに向けたであろう一冊。
高崎の現在の到達点を伝える本書は
若手でなくとも充分得るものがあった。



広告の企画制作の仕事をする高崎は
やがて映画、演劇、小説を手がけるようになる。
そのつど、自分の職業の核となる部分から独自の方法を編み出す。
その立ち向かい方はどこか不器用でさえあり、
昨今の小器用でまとめ上手な若手とは堂々一線を引く。
器であるメディアの新しさのみに目を奪われる
現在の潮流にはしっかり釘をさす。


はるかかけら

はるかかけら


見てくれる人を喜ばすのは作り手の都合ではない。
田井中邦彦の言葉である「なんかええな」を作ろう、
と高崎は静かに、けれど力強く主張する。
若手は自分の未来を学ぶために、
ベテランは原点を思い出すために本書を読む。


(文中敬称略)