中野剛志評論集『反官反民』(2012) を読む。
中野の10年間の評論を集めた一冊。
- 作者: 中野剛志
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2012/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あとがき(p.420) にこうある。
(前略)
私の場合、言うべきことを言わないで、
後で自分の臆病や打算を悔やむ羽目になるのが、
ものすごく怖いのである。
そんな強迫観念にかられたおかげで、
政府の方針には反発するわ、
世論の流れには逆行するわといった次第になってしまった。
その滑稽な奮闘の記録が、本書である。
「反官反民」というタイトルには苦笑するほかない。
ということはこのタイトルは
発行元の幻戯書房編集者・佐藤英子の発案か。
切れ味のいいタイトルにまずは感心した。
構造改革、イラク攻撃、裁判員制度、マスメディア、TPP、原発など
現代日本の幅広い問題について中野は自分の考えを書き留める。
経済産業省から京都大学に出向し、
2012年6月に経産省に復帰。
現在は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に勤務。
確かに経産省批判も痛烈に書かれているから
中野の上司を務める人間はたまったものではないだろう。
新聞、テレビなどの無味乾燥中立風な報道だけでは
現代日本の問題の本質はなかなかつかみきれない。
中野の意見にすべて賛成である訳ではないにせよ、
こうしたきちんとした物言いの評論家が出てくることは僕は歓迎である。
(文中敬称略)