貴田庄『小津安二郎の食卓』を読む。
十年以上前だったと記憶するが、
海外の友人、知り合いから小津作品について
尋ねられることがあった。
小津の名前を知っているだけで
当時一本も見ていなかった僕は恥ずかしく思った。
特別なシアターでのみ見ることのできるレア作品を除き、
DVDショップで借りられる作品はすべて見た。
巨匠、名作という世間のレッテルより、
ずっと気楽に見られる上質ホームドラマであると僕は思った。
貴田の著書は小津作品における食に着目した作品である。
- 作者: 貴田庄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
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プロローグ「死とがんもどき」から始まって
ちょっとタイトルを眺めただけでも楽しい。
「秋刀魚と大根」「カレーライス」「珍々軒と東興園」
「とんかつ」「果物嫌い」。
普通のホームドラマと違うのは台所の調理シーン、
家族団らんの食事シーンがほとんどないことだ。
貴田のマニアックな視点が随所にあらわれる。
(文中敬称略)