澤本嘉光・永井聡『ジャッジ』(2014)


澤本嘉光脚本、永井聡監督『ジャッジ』を観に
丸の内ピカデリーに出かける。
サンタモニカ国際広告賞審査が舞台。
上司のクリエーティブディレクターに
やっかいごとを押しつけられた若きCMプランナーが
替え玉として審査に臨む。



澤本は自らも二度
カンヌ・フェスティバル・オブ・クリエティビティの審査員を務めた。
細部の描き方にはリアリティがある。
他の脚本家では書けなかっただろうと思える箇所がいくつもあった。



栄光の陰に裏取引が横行する国際審査の場で、
この仕事を選んだ喜び、誇りを訴える主人公。
その姿は澤本本人であり、
澤本が脚本で伝えたいメッセージだと僕は思った。



はて、カンヌ審査も務めた経験のある自分は、
とっくに夢を忘れて薄汚れてしまったか。
それともその夢を捨てずに持ち続けているのか。
抱腹絶倒の1時間45分の後、ふと我が身を振り返った。


業界人には面白くとも普通の人たちが
国際広告賞審査の舞台設定、
そこで演じられる人間模様にどこまで興味を持てるか。
それがこの作品の勝負どころだろう。
午後早めの時間に観たせいがあるのか、
意外なことに年配の方の姿を多く見かけた。
元業界人なのか、それとも物語設定に惹かれたのか。



   (こちらは丸の内でなく、カンヌの風景)


ぜひ、劇場の大きなスクリーンで、
サウンドデザインのディテールまで楽しんでいただきたい。
丸の内ピカデリー他で上映中。


(文中敬称略)