虫の耳の放送局 - インドのイノベーション


カンヌ・フェスティバル・オブ・クリエティビティ、
第三日、第四日はイノベーション・ライオン
ショートリスト・プレゼンテーションに通う。
5階のEsterel。150-200人くらいは収容できそうな中規模ホールだ。
イノベーション・ライオンは2013年に新設されたカテゴリー。



なにが面白いかって、ショートリストに選ばれた30チームが
審査員の前で10分間でプレゼンテーションし、
その後、審査員と10分間の質疑応答を行う。
その一部始終を会場で見ることができるのだ。
ただし、質問する権利は審査員のみにある。



大会場でのセミナーは45分間が一区切りで、
観客も多いため質疑応答はほとんどできない一方通行のものだ。
その点、イノベーション・ライオンのセッションは、
10時から夕方17時、18時まで公開審査が続く。
ここでぶっ通しで聴いているのが僕には面白い。



初日の発表はイノベーションと言いながら、
昨年に比べて小粒のものが多かった印象だ。
バイスを開発し、センサーによって動画を収録し、
データ解析してなんらかのアウトプットを出す類が目についた。
自分でも10点満点で採点し、7点以上を取ったものが入賞候補だ。



初日で僕が唯一7.0を付けたのがインドのKan Khajura Tesan。
都市部を除けばインドで通常メディアの到達率は20%。
その上、一日10時間は停電する。
およそ娯楽というものに縁がなくなる。
テレビの普及台数が2,300万台であるのに対し、
携帯は5,400万台。しかも電池で6-8時間使える。



ユーザーが間違い電話をかけるとある画面に回る。
指示に従って無料通話をかけると、
その代わりにKan Khajura Tesan(「虫の耳の放送局」の意)から
音楽、お笑い、トークなど60分のエンターテインメント番組がやってくる。
スポンサーであるUnileverの広告が合間に流れるため、
サービスはすべて無料になる訳だ。
インドの二州で、6ヶ月に800万人のユーザーが、
このサービスに登録した。



冷房の効き過ぎた会場にフルに一日こもったら、
僕の大好きなレストランで乾杯!
きょうを締めくくろう。