池上彰『おとなの教養』(2014)


この人と佐藤優
どうしてこれだけ著作をコンスタントに出版できるのか不思議に思う。
池上彰『おとなの教養』を読む。
副題は「私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」。
ゴーギャンの絵のタイトルを彷彿とさせますね。



不思議のふたつめは二人とも著作品質を保持していて
世の著作によくある粗製濫造になっていないこと。
池上がヨルダン難民キャンプを自費取材した報告を
聴きに行ったことがある。
いっときメディアで重宝されて勘違いする人とは
出来が違う、と直感した。


その後、朝日新聞連載を切られたときの対応、
朝日叩きしていたメディア(週刊文春など)への発言は
毅然として見事だった。
この気骨がジャーナリストというものだろう。
日本のジャーナリズムには失望することも多いが、
池上、佐藤を同時代に持てたことは
僕たちが現代の日本に暮らす幸福の一部であると思う。



本書は現代の教養を
(1)宗教 (2) 宇宙 (3)人類の旅路 (4)人間と病気
(5)経済学 (6)歴史 (7)日本と日本人
の7科目に分類。
この7科目を出発点に自分の教養を深めていけると僕は思った。


(文中敬称略)