スクラップブックから
讀賣新聞2019年5月13日朝刊
70年の中国 大国の現実(5)
信用度で国民管理 「点数気になって仕方ない」
上海中心部にある上海市第一中級人民法院(地裁)前の
公告用電光掲示板に、企業名や個人名がいくつも表示されている。
ローン未払いで訴えられたり、慰謝料や罰金を納めなかったりして、
裁判所が「信用失墜者」と認定した人たちだ。
(略)
信用失墜者の認定は、習近平(シージンピン)政権が
2014年から構築を始めた「社会信用システム」の一環だ。
習政権は「正しい行いはたたえ、悪行は罰する」とのスローガンの下、
中央や地方政府、金融機関などのシステムをつなぎ、
インターネット上で個人の信用情報を一括管理することを目指す。
20年の完成目標を達成するために、
地方政府ではシステム構築や法整備を急いでいる。
社会信用システムの原型は、
1949年の建国後に共産党政権が整備した国民の個人情報ファイル
「档案(とうあん)」にある。
档案には家族構成から政治思想まであらゆる個人情報が記され、
進学や就職、昇進などに影響した。
それが今、人々を管理する手段として、
膨大な個人情報を集めたビッグデータや人工知能(AI)技術が
取って代わりつつある。
(略)
(おわり。角谷志保美、中川孝之、東慶一郎、吉永亜希子、
田川理恵、高橋学が担当しました)
池上彰さんが新著『おとなの教養2—私たちはいま、どこにいるのか?』
(NHK出版新書、2019)第一章「AIとビッグデータ」で
「『1984年』が現実化する中国」の項目を立てこの問題を取り上げている。
ビッグデータによる「社会信用システム」が一気に進んだ共産党政権下の
中国の姿は現実となったホラー小説・映画に見えてくる。
恐ろしいことだが、目を背けている訳にはいかない。
おとなの教養 2―私たちはいま、どこにいるのか? (2) (NHK出版新書)
- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2019/04/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る