大王食堂が同居人によく出すごはんは
「旅館の朝ごはん風賄い定食」。
例えばこの日は、黒胡麻ごはん。新ジャガとわかめの味噌汁。
エンドウ豆卵とじ。ベーコンアスパラ炒め。ゴボウ天。
焼紅鮭。しらすおろし。冷やしトマト。蕗と昆布の佃煮。
なんのことはない。
小鉢と小皿で一杯飲めて
ごはん、味噌汁で仕上げられる定食である。
お菜はそのときあるもので任せてもらう。
同居人は客人が来訪するとき以外は家では酒を飲まない。
「小鉢と小皿で一杯飲めて」は
僕ならそうするなぁ、という気分である。
旅館でやけに豪華っぽい料理が並ぶ夕食より、
簡素だが土地のものが小鉢で出るような朝食が好ましい。
ああ、この朝食を晩にもういっぺん出してもらって
小鉢と小皿で一杯飲みたいなぁ、と旅の空で思うのだ。