アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』(2000)


そう言えば「民族」というものを
深く考えたことがこれまでなかった。
ナショナリズム」については少しは考えたが、
どうも理解があいまいだったことが分かった。
アーネスト・ゲルナー(加藤節監訳)
『民族とナショナリズム』(2000/原著1983) を読む。


民族とナショナリズム

民族とナショナリズム


5月から受講している同志社講座・佐藤優講師の
「ナショナリズムと国家」(全5回)の課題図書の一冊。


  「スラスラ読めてしまうけど、
   本当はそれぞれの文章にびっしり脚注を付けないと
   理解できないくらい濃い内容です」


佐藤講師の言葉は本当だった。



   (Ernest Gellner/写真はWikipedia(英語版)から引用)


いまの地球で「民族」の数は「国家」の数の数倍ある。
必然的にほとんどの国家は複数民族で構成される。
その民族という概念そのものが古来からあったものでなく
せいぜいこの二百年くらいの歴史しかないと知ると、
「え、そうだったのか」と愕然となる。


民族の理解が不正確になれば
ナショナリズム、国家の理解も土台があやふやになる。
あやふやなものに煽られたり縛られたりしてはたまらない。
自分で考える習慣、力がますます必要だ。


Nations And Nationalism (New Perspectives on the Past)

Nations And Nationalism (New Perspectives on the Past)


ゲルナーの本書は名著である。
難しいことを平易に書けるのが学者の才能だ。
繰り返し読み、かつ急いで読まずに
希有の哲学者の視点を手に入れ、己の養分に変えたい。


wikipedia:en:Ernest Gellner


(文中一部敬称略)