三部(さんべ)けい『僕だけがいない街』(2013-17)


僕が務める会社では同僚たちがあれこれ工夫して
セミナー、ワークショップを開催している。
もちろん、ビジネスにつなげることが第一目的だが、
商売の前に自分が「目ウロコ」で発見したり感動することが大事だ。


自分がいいと思えない企画を顧客に自信を持って売ることはできない。
必ず見抜かれる。
数多くのセミナーから自分の関心領域に基づきピックアップし、
ついでに欲張って新領域開拓ももくろんで
仕事時間のカリキュラムとして組み込むことを長年続けてきた。



(福里真一さん司会のセミナー。東京コピーライターズクラブ共催。2/21)


2/20(月)にカリスマ書店員、
三省堂の新井見枝香さんの話を聴いた。
抜群に面白いと思った作品が直木賞にノミネートすらされず、
憤慨して新井賞を立ち上げ話題を創り出した情熱の書店員だ。
目ウロコがいくつもあったが、そのひとつ。
売れ始めた書籍に勢いをつけるには車内広告、
それも開閉ドアに貼ってある小さな広告が効く、という指摘があった。
そうなんだ、僕もそれをよく参考にしている。



車内広告で見かけた三部けい僕だけがいない街』が気になり、
TSUTAYAで最初の三巻を借りてきて読み始めた。
凄い作品であることが最初の十数頁読んだだけで分かった。
発作のような症状が出たときだけ過去に戻ることができる若い男性が主人公。
18年前に起きた小学生連続殺人事件がメインストーリーとなって、
小学生たちの生活、思考、行動にレンズが入っていく……
三部はどうしてこんな物語を思いつき、
コマ割りで表現できるのだろう。
ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦の弟子である。



テレビドラマ、映画がマンガを原作として頼りすぎる傾向を
安易で情けなく思うことがある。
一方それだけの力のあるマンガが
日本文化として途切れていない証明でもある。
優れたマンガがテレビドラマ、映画に
活力を与える源泉になっているのは確かだ。
多くの読者が長く支持する作品にはなにか秘密が隠されている。
僕はその秘密を知りたい。


Wikipediaによれば、愛称『僕街』は通算400万部売れ、
2016年にアニメ化、映画化された。


wikipedia: 三部けい
wikipedia: 荒木飛呂彦