18歳、無理ゲー説(原田朱美)


スクラップブックから
朝日新聞2018年7月24日「ネット点描」
高校卒業後 つまずく若者
ルール大転換 無理筋



(筆者が大学の授業で使うスライド)


   「18歳無理ゲー説」という話を、
   数年前から大学生にしている。
   「無理ゲー」とは「クリアが無理なゲーム」。
   18歳の前後で世界のルールが大きく変わるのは、
   若者にとって「無理ゲー」なのではないか、
   という意味で使っている。


   例えば。18歳まで高校で教師から言われることは
   「黙って言うことを聞きなさい」
   「ネットは危険。SNSはよくない」
   「先生が指定した教材を使いなさい」。


   これが大学に入ったり、社会に出たりすると180度変わる。
   「なぜ自分から動かないの」
   「なぜ若いのにネットを使えないの」
   「そのくらい自分で調べなさい」


   私は学生にこの話をする時、
   自分のせいにしないでほしいと付け加える。
   10年ほど若者を取材してきて気付いたのだが、
   この無理ゲーをクリアできないのは自分がバカだからだと
   思っている人が、少なくない。
   (略)


   無理ゲーにつまずいた若者にとって、
   ネットにあふれる情報は砂漠と同じだ。
   (略)


   「どのサイトの記事なら信用できますか」。
   学生たちは答えを求め、不安そうに聞いてくる。
   正解などないこと。
   要るものと要らないものを自分で考え、より分けること。
   ひとつひとつ教えると、
   まさに水が染みこむように、吸収していく。
   (略)

                    (原田朱美)



現場で10年若者たちを取材してきた記者の実感は
自分の感覚とはずいぶん違うんだなと思う。
僕が普段会社で付き合うのはせいぜい20代前半の若者たちだ。
ルールに従順で、導き手に出会えば素直で成長も早い彼らに
先入観を持たずに付き合うことが大切だと思った。