スクラップブックから
朝日新聞2018年12月14日朝刊
「沖縄」を考える 土砂投入を前に
僕らの世代 わりきれない
大学生の映画監督 仲村颯悟(りゅうご)さん(22)
米国普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)返還で日米が合意した
1966年に生まれました。
「一日も早い危険除去を」と言われますが、
僕は22歳になりました。
(略)
沖縄戦も、米軍統治も知らない僕らの世代の多くは、
単純には割り切れない思いを抱えています。
それなのに、ニュースで伝えられるのは
「沖縄は基地に賛成か反対か」ばかり。
お前はどっちなんだ、
と問いただされているような息苦しさがあります。
ありのままの沖縄を伝えたくて制作したのが
映画「人魚に会える日。」(2015=引用者注)です。
基地建設に翻弄(ほんろう)される架空の「辺野座」を舞台に、
高校生の揺れる心をファンタジーに仕立てた作品でした
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でも、公開前からSNSに書き込まれたのは
「売国奴」「反日」。
逆に「辺野古賛成の映画を上映するのか」
と批判も寄せられました。
同世代のスタッフは、米軍関係で働く家族の意向で
エンドロールを仮名にせざるを得ませんでした。
9月に初めて知事選で投票しました。
4年前は基地や経済は大人の問題でしたが、
今回は各陣営で支援を呼びかける友人も多く、
議論を深める機会となりました。
その結果、辺野古ノーの知事が誕生したのです。
辺野古の是非を問われたとき
「わからない」と恐れずにまず言ってみる。
そうした立場から一歩進んで、
答えを探すスタート地点に立ったように僕は思っています。
その矢先の土砂投入。
知事選からわずか2カ月余りです。
早すぎませんか。
(聞き手・木村司)
辺野古基地問題を自分の頭で考え抜き、
自分の表現で世に問う世代が現れてきたことを
頼もしく思います。
賛成か、反対かで割り切れない思いに
僕も正直でありたいです。