戦争は人間のしわざ(ヨハネ・パウロ2世)

クリッピングから
朝日新聞2019年11月29日朝刊
池上彰の新聞ななめ読み
被爆地での演説 ローマ教皇は何を訴えた


今月の「新聞ななめ読み」で池上さんは
ローマ・カトリック教会フランシスコ教皇
長崎・広島での演説に関する各紙の記事を取り上げました。
核抑止を否定した教皇の発言を
朝日、毎日、読売3紙がどう受け止めたか、詳細に検討します。


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教皇の呼びかけに批判的な解説を掲載した読売が
11月25日付朝刊に長崎での演説全文日本語訳を載せたことを
「読者に親切」と池上さんは評価しています。
一方朝日、毎日が演説要旨だけだったことを
「残念」と表現しました。


さらに池上さんの「ななめ読み」の真骨頂が発揮されたのは
この記事の最後の部分です。
ここでも「残念」という言葉を使いました。


  残念だったのは同日(引用者注:11月25日)付朝刊の
  日経新聞の社会面の記事です。


  <1981年のヨハネ・パウロ2世被爆地訪問時には、
  教皇が広島で「戦争は人間のしわざ」という平和アピールを発表。
  多くの被爆者が被爆体験を語る契機となった>


  ヨハネ・パウロ2世の言葉が、なぜ契機となったのか、
  これではわかりません。
  当時、広島や長崎のカトリック信者たちの多くが、
  原爆を「神から与えられた試練」と受け止め、
  被害を語ることを控えていたのです。
  

  教皇が「戦争は人間のしわざ」と演説したことで、
  信者たちの心の重しもとれ、重い口を開きました。
  ここまで書かないと読者には不親切です。


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池上さんが新たな章を書き加え、
本連載を一冊にまとめました。
僕はさっそく図書館で借りてきて、
新章、連載時に読めなかった回を読みました。
新聞を読むプロの読み方からはいつも学ぶものがあります。


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