こんな時こそ良い本を読んでほしい(ドメニコ・スキラーチェ校長)

クリッピングから
朝日新聞2020年3月2日夕刊
最大の脅威は人間関係の「汚染」
イタリア・休校中の高校長、生徒へメッセージ


イタリアで話題になっているスキラーチェ校長のメッセージを
ローマ駐在・河原田記者が報告してくれました。


  「外国人に対する恐怖やデマ、ばかげた治療法。
  ペストがイタリアで大流行した17世紀の混乱の様子は、
  まるで今日の新聞から出てきたようだ」—。
  新型コロナウイルスの感染者が1千人を超えたイタリアで、
  感染対策で休校中のミラノの高校の校長が、
  学校のホームページ上で生徒に向けて書いたメッセージが話題になっている。


  メッセージを書いたドメニコ・スキラーチェ校長は、
  イタリアの文豪マンゾーニが、
  ペストが流行した様子を19世紀に描写した国民的文学作品
  「いいなづけ」の一節を紹介しながら、
  社会生活や人間関係を「汚染するもの」こそが、
  新型コロナウイルスがもたらす最大の脅威だと説いた。


  「いいなづけ」では、
  「人々が不安になっている時には、
  話を聞いただけで見たような気になってしまうものだ」
  などと、パニックに陥った時の人間の心理を描写している。


  スキラーチェ校長は
  「目に見えない敵からの脅威を感じている時は、
  仲間なのに潜在的な侵略者だと見なしてしまう危険がある」と指摘した。
  ミラノでは休校期間が延長となり、同校では7日までの休校が決まった。
  スキラーチェ校長は「こんな時こそ良い本を読んでほしい」と勧め、
  「集団の妄想に惑わされず、冷静に、十分な予防をしたうえで
  普通の生活を送ってほしい」と呼びかけた。


  そして、「ペストが流行した時代と違い、今は近代医学がある。
  人間性や社会性といった私たちの貴重な財産を守るために、
  合理的な考えを持とう。
  そうでないと、ペストが勝ってしまうかもしれません」と結んだ。
                       (ローマ=河原田慎一)


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不安やデマこそが人間関係、社会生活を「汚染」する脅威となり得る。
休校中の高校生たちに、古典の一節を引き
メッセージを送る校長が存在することをこの記事は読者に教えてくれました。
イムリーでしたね。