クリッピングから
朝日新聞2020年6月29日朝刊
進化論の誤用 学会「反対」
自民改憲ツイート 「論理的な誤り」
日本人間行動進化学会が専門家の立場から
科学的知識の誤用について反対を表明する声明を出した。
自民党がダーウィンの進化論を誤用した言い回しを使って
憲法改正の必要性を訴えた問題で、
日本人間行動進化学会(会長=長谷川眞理子・総合研究大学院大学長)]は27日、
会長と理事会名で、誤用に反対するなどとする声明を出した。
▶2面=いちからわかる!
同学会は、人間の行動や心理などを、進化の観点から研究する専門家の集まり。
声明は、ダーウィンの進化論に
「思想家や時の為政者によって誤用されてきた苦い歴史がある」と指摘。
「生物の進化のありようから、人間の行動や社会が
いかにあるべきかを主張することは、論理的な誤り」だと説明した上で、
進化論を社会的影響を持つ団体や個人が誤用することに反対を表明している。
一方、誤用がなくならない現状について
「科学に携わる者の努力不足だと言わざるを得ない」と反省も示した。
「私たちには、進化のありようを
安直に社会の望ましいあり方として提示することの危険性について、
社会に警鐘を鳴らす責任がある」などと、研究者の責任にも言及した。
(小坪遊)
同学会の声明はこう結ばれている。
この問題に対する科学者の団体のメッセージとして的確でタイムリーだ。
私たちはここで、特定の政治的意⾒を主張するものではありません。
いかなる⽅向性・内容であっても、
ダーウィンの進化論という科学的知識が、社会的影響⼒を持つ団体や個⼈によって
(それが意図されたものであるかどうかにかかわらず)誤⽤されることについて、
反対を表明するものです。
「変化できる者だけが⽣き残れる」と信ずるのであれば、
誤った科学を根拠にするのではなく、
個⼈や団体の信念として表明するべきだと考えます。
僕自身も、ダーウィンの進化論の理解があやふやだったことが
今回の記事、声明を読んで分かった。
科学的知識は、既に身につけていると思い込んで安心せず、
ときどきアップデートし、誤用の危険について認識することが重要なんだな。
問題の背景については同紙2面「いちからわかる!」で
小坪記者がわかりやすくまとめていて読者に親切だ。
今回議論になった「憲法改正ってなあに? 教えて!もやウィン」は
6/30現在、自民党広報ホームページには掲載されていない。
削除されたのかもしれないが、その説明は載っていなかった。
(過去のツイートは残っている)
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