極私的ベスト2021<書籍篇>を発表します。
例年通り、独断と偏見のみのランキングです。
ご笑納くださいませ。
第1位 松家仁之 『光の犬』(新潮社、2017)*
松家の作品は文章がどれもすばらしい。
小説を読む醍醐味を堪能できる。
第2位 ショーン・タン/岸本佐知子訳『内なる町から来た話』(河出書房新社、2020)*
このアーティストが同時代に仕事をしている幸運を喜ぶ。
岸本とのコンビが絶妙。
第3位 岸本佐知子『死ぬまでに行きたい海』(スイッチ・パブリッシング、2020)*
こんなにエッセイを読ませる人がいるのかと驚いた。
本書は岸本の単著。
戦後、焼け跡から始まった日本の光景が
浮かび上がるような物語。
第5位 イアン・カーショー/須永美和子訳・石田勇治監修『ヒトラー(下)天罰1936-1945』(白水社、2016)
ヒトラーとは何だったのか、
深く考察するための材料が随所に見つかる歴史書。
書評を読んだのがきっかけで手にした。
松家の作品に出会えたのは2021年の収穫だった。
第7位 いとうせいこう『想像ラジオ』(河出文庫、2015)*
いつか読もうと思っていて、
2021年が僕にとってのタイミングだった。
第8位 アンナ・ツィマ/阿部賢一・須藤輝彦訳『シブヤで目覚めて』(河出書房新社、2021)*
鴻巣友季子の書評で読みたくなった。
贔屓の書評家を何人か持っていると、読書の幅が広がる。
第9位 宇佐見りん『かか』(河出書房新社、2019)*
芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』より、
僕にはこちらの方が面白かった。
第10位 半藤一利・加藤陽子・保阪正康『太平洋戦争への道 1931-1941』(NHK出版新書、2021)
日本が太平洋戦争にのめり込んでいったプロセスを
三者がジャムセッションしながら読み解いていく。
Eテレ「100分de名著」で島田のファンになり、
手にした自伝的小説。
次点 高樹のぶ子『私が愛したトマト』(潮出版社、2020)*
正統派の作家と思い込んでいたが、
こんなシュールな短編群を書く人だったとは!
選んだ12冊のうち8冊が小説だった一年でした。
(ショーン・タン作品は除く)
公立図書館から借りてきた書籍には*を付けました。
12冊中10冊でした(『光の犬』はその後、古本で購入しました)。
年間200〜300冊借りるほどお世話になってます。
スタッフのみなさんに深く感謝します。
みなさんの2021年の読書ライフはいかがでしたか?
2022年も、素晴らしい本との出会い、再会がありますように。