いまの労働の成果がそこにある(根本紀江)

クリッピングから
毎日新聞2022年3月26日朝刊
読者投稿欄「女の気持ち」 楽しさ発見


  若いころから掃除はおっくうな家事だった。
  掃除機は重くて音も大きく、
  必要以上に力が入り、疲れてしまう。
  仕事や子育てに忙しい日々の中で、
  優先されたのは食事作り。
  掃除はいつも後回しだった。


  しかしこの年になり、掃除が楽しくなっている。
  掃除機を最新式の軽いものに買い替えたからだ。
  充電式でコードの煩わしさがないし、
  ヘッドにLEDライトがついていて
  すぐ先にあるホコリがよく見える。


  毎回、掃除機にたまったごみを捨てる。
  簡単にパカッとフタが開き、
  ドーナツ状に圧縮されたごみが出てくる。
  驚きだ。
  こんなにホコリがあったのか。
  いまの労働の成果がそこにある。
  充実感が味わえる。
  そんなわけで、このごろ掃除が楽しいものになった。


  昔、帰省すると掃除好きだった亡き母は、
  きれいな部屋でお茶をいれてくれた。
  心が落ち着くこの時間が大好きだった。
  お茶もおいしかったけれど、
  掃除してホコリを取り払った空間が
  癒してくれていたのだと気づいた。


  今の世の中、
  どんどん改良された便利な道具が出回っている。
  経済的に無理のない範囲で、
  その恩恵にあずからせてもらおうと思う。
  新たな発見があり、楽しみが見つかるかもしれない。

           神奈川県大和市 根本紀江 
           無職・74歳


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根本さんの前向きな心の持ちようが
文章から伝わってくるようです。
我が家でも掃除機を替えてから、
掃除が少しだけおっくうでなくなってきたかな……?