感覚過敏でマスクを付けられない人がいる

クリッピングから
毎日新聞2020年8月5日朝刊
「マスク付けられません」
感覚過敏 カードで伝える


「感覚過敏」って何だろう?
自らも感覚過敏で苦しむ中学生の加藤さんが
「感覚過敏研究所」をオンライン上で立ち上げ、
理解・支援を広げる活動に取り組んでいる。


  発達障害などがある生徒が、通常学級に在籍しながら
  一部の授業を別の教室で学ぶ「通級指導」。
  熊谷市立富士見中学校の通級指導教室に通う女子生徒は元々、
  大きい音や明るすぎる光などが苦手だ。
  授業中は雑音を遮断する耳栓をしている。


  「マスクをすると、顔をしめつけられる気がして、かゆくなる」。
  臨時休校中、学校再開後に
  常にマスクの着用を求められる不安があったものの、
  分散登校が始まった6月、同教室の三富貴子教諭(52)から
  「感覚過敏のため、マスクが苦手です」と記されたカードをもらった。


  授業中に机の上に置くと、一時的にマスクを外しても
  教諭や他の生徒から指摘されることはなかった。
  「安心できた」とほっとしたという。
  周囲に理解が広がった現在はカードを使う必要もなくなった。
  (略)


  このカードを考案したのは、
  千葉県習志野市の中学3年、加藤路瑛(じえい)さん(14)。
  子どもの頃から食感やにおいに敏感で給食が食べられず、
  エアコンの音や女子生徒の甲高い音が苦手だった。


  中学1年の時、小中高生の企業支援などに取り組む会社を設立。
  「せっかく会社を持っているなら、自分の困りごとを解決したら」
  という父の助言で、感覚過敏でも暮らしやすい社会をつくろうと決意し、
  今年1月、感覚過敏に関する情報発信や商品開発などをする団体
  「感覚過敏研究所」を創設した。


  SNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)で賛同してくれた
  仲間と一緒に、かわいらしい動物のデザインで
  「苦手な音があります」などと感覚過敏を示す缶バッジなどを作り、
  販売している。


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(感覚過敏マーク。感覚過敏研究所サイトより引用。ダウンロードは有料)


  4月下旬、SNS上で、マスクをしていない客を店側が非難する書き込みに、
  感覚過敏の子どもを持つ親が悲しんでいることを知った。
  これを機に「感覚過敏のためマスクが苦手です」
  「マスクが付けられません」と示すデザインを作り、
  誰でも無料でダウンロードできるようにした。
  (略)


  加藤さんは「実際に学校現場で使われているのはうれしい。
  感覚過敏がどういうものか、何に困っているかをまずは知ってほしい。
  最終的には、このようなマークが必要なくなる社会になってほしい」
  と願っている。
  (略)

                           【大平明日香】


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中学1年で会社を立ち上げたこと。
似たような症状で苦しむ仲間たちとチームを組み、
既存のデジタルサービスもフル活用して
オンライン上で「感覚過敏研究所」を運営していること。
支援のための商品開発、投げ銭の活用等で
お金から逃げず、継続的活動を志していること。
大人が励まされる記事でした。
それにしても、加藤さんにさりげなく助言した
お父さんの存在が素晴らしいですね。


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(感覚過敏応援団の缶バッジ。送料別 780円)