オンライン学習の威力を見せつけられたのではないか(坂井聡)

クリッピングから
朝日新聞2020年7月5日朝刊
オンラインの方が学びやすい子も
一斉授業は苦手→学習意欲高まる例


コロナ禍による休校措置から
選択の余地なく試行錯誤が進んでいるオンライン学習。
不登校の子どもたちを救う可能性が見えてきたことが興味深い。
宮坂記者の報告を引用する。


  オンラインだと落ち着いて学べる子がいる—。
  5月下旬の3日間、オンラインで行われた専門家の緊急対談
  「COVID-19と特別支援教育〜これからのオンライン教育を考える〜」で、
  そんな声があちこちから出た。
  学校の一斉授業になじめない子にも効果的なようだ。
  (略)


  「この休校で、先生たちはオンライン学習の威力を
  まざまざと見せつけられたのではないか」
  香川大学教育学部付属坂出小学校校長でもある、
  坂井聡・同大教授は、そう語った。
  不登校の子や教室では発言できなかった子が、
  オンラインになったことで、学習意欲が非常に高まる例が各地で見られたからだ。


  オンラインだと、毎日課題を欠かさず提出したり、大きな声で発言したり。
  キーボードで意見を次々と書いて積極的に授業参加する子もいたという。
  ほかの児童生徒の目を気にしなくて済むという面もあるが、
  特別支援教育が専門の坂井教授は、
  特に自閉症スペクトラムの傾向があるタイプの子は、
  オンラインの方が集中して学習できる特性があるという。


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  端末という限られた所から、
  文字情報や音声で自分への指示が明確に伝わる。
  発表用ソフトなどを画面で共有すれば、
  視覚的な情報で学習内容が頭に入りやすい。
  周囲の雑音や動きに邪魔されず集中できる。
  こうしたことから、聴覚過敏の子、
  耳で聞くより目で読んだり見たりした方が記憶しやすいタイプの子にも
  効果があがりやすい。


  「メタ認知(自分を客観的に見る機能)が下手で、
  社会性やコミュニケーションが苦手な子ほど、教室では混乱して集中できない。
  オンライン学習の方が落ち着いて理解も深まる」と坂井教授。
  オンライン学習も小中学校段階から
  授業として認めていけばいいのではないかと、議論した。
  (略)


  東大先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授は
  「日頃から、学校と家庭をオンラインで結んで
  コミュニケーションや学習の練習をした方がいい。
  そして学びの手法がオンラインだろうが対面だろうが、
  一人ひとりの学びの本質の部分で評価する。
  そうした時代に変えることが、
  学校で苦しんでいる多くの子どもたちを救うことになる」と話した。

                          (宮坂麻子)


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「学校で苦しんでいる多くの子どもたちを救うことになる」
という中邑教授の視点が重要だ。
オンライン学習の成果を学校での正式な評価に組み入れることで
解決できる問題がありそうだ。


かがみの孤城

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不登校の子どもたちが主人公の傑作小説)