あぁ これはきっとあれだな(高橋麗子)

クリッピングから
讀賣新聞2020年4月18日朝刊
こどもの詩(選者・平田俊子さん)
コロナの今 書いてみよう
大変な時 自分は何思ったか


平田さんが選ぶ「こどもの詩」は
讀賣を読む楽しみのひとつだ。
特に心に響いた2編を紹介する。


  今までに
  なったことのない気持ち

          高橋麗子


  ぎゅーっと何かつまっている
  ポタリッと何かがこぼれている
  あぁ これはきっとあれだな
  毎日当たり前のように友達と
  笑っていた分の笑顔が
  たまっている
  毎日当たり前のように会う友達と
  会えなくて涙の蛇口が開いている

        (横浜市・田奈中2年)


     休校になってから、塾も部活も全てストップ。
     「胸の中がモヤモヤした。学校に行けない悲しさを表現した」。
     気持ちはまだスッキリしていないが、
     「もう一度、1年生のクラスで授業を受けたい」という。


  お休みだから考えた

      小間屋 吾桜(あお)


  かあかんが言った
  「学校に通えるって
  へいわってこと」
  ぼくは「だね」とへんじをした
  そして思った
  学校であそびたいな

     (神奈川県大磯町・大磯小3年)


     「かあかん」はお母さん。
     休校になって「学校に行くっていいことだな」と感じた。
     庭の花に水をやったり、米を研いだりと家の手伝いを頑張っている。
     「早く学校に行って、みんなとワイワイ遊びたい」


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平田さんは子どもたちに呼びかける。


  子どもさんたち、コロナの詩を書いてみませんか。
  最近思っていること。家族のこと。大人たちにいいたいこと。
  その他何でも、コロナを意識しながら書いてみてください。


  そういう気分になれないかもしれません。
  でもこの大変な時に自分が何を思い、何を考えているか、
  あえて書いてみませんか。
  そうすることで不安が薄まるかもしれません。
  押しつぶされそうな心が少し強くなるかもしれません。
  何より、この時期をどう過ごしたかという証しになります。
  (略)


  今の自分を書いてください。
  詩は心の受け皿になります。


大人になっていろんなことを忘れてしまっている自分に
「ハッ」と大事なことを思い出させてくれるのは、
子どもたちの視点、言葉です。