クリッピングから
産経新聞2020年4月17日朝刊
I♥NY アイ・ラブ・ニューヨーク
午後7時 癒やしの瞬間
米国における新型コロナウイルス感染の中心地、
ニューヨーク市で外出制限が始まって約1カ月間。
この間、生身の人間と直接話したのは、
自宅マンションのドアマンくらいだ。
静まり返った街では救急車のサイレン音が一段と鳴り響く。
新型コロナ患者が次々と搬送され、
病院には遺体安置用に冷蔵トラックが横付けされている。
(略)
外出制限はそれほど厳しくない。
気晴らしに公園に行くことは許されるし、
スーパーに行けば、何でも思うように買い物ができる。
日常生活に支障はないが、
知人から「親戚が亡くなった」といった話を聞くことが増え、
感染の恐ろしさを身近に感じる毎日だ。
一日の楽しみは午後7時。
ニューヨークでも医療従事者に感謝を込めて拍手を送るのが
日課となっている。
買い物帰りでも荷物を置いて拍手。
運転中でも車を止めて参加する人もいる。
人とのつながりを感じられ心がほっとする瞬間だ。
(上塚真由)
午後7時の「特別な瞬間」が、
ウイルスとの長期戦の下で今後どう変化するか、それともしないのか。
人とのつながりに感謝することを特別の時間でなく、
あたりまえの時間にできるともっといい。
拍手する行為がどこかで途切れたとしても、
感謝の気持ちを長期戦にしていくことは僕たちにできることだ。