クリッピングから
讀賣新聞2023年1月9日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。
横風に煽られながら鈍行を
待ちいる人よ冬のさかむけ
大和郡山市 大津穂波
【評】横風は、急行などが通り過ぎるときのものだろう。
寒々とした侘(わび)しい光景だが、
そろって風を受ける人体を「冬のさかむけ」と捉えたことで、
ダイナミックな一首になった。
昼休みのオフィスでまどろみたるひとの
白湯から水に戻りゆく刻
大阪市 toron*
【評】うとうととした状態をとらえた「白湯」の比喩がいい。
目が覚めるとは、その白湯が冷めることなのだ。
婚活や推し活よりも生活を
がんばるためにとるかつおだし
狭山市 えんどうけいこ