風鈴たちの喉の透明(toron*)

クリッピングから
讀賣新聞2023年9月14日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  ゆく夏のボーイソプラノ吊り下がる
  風鈴たちの喉の透明

           奈良市 toron*


    【評】風鈴の高音とボーイソプラノ
       音だけでなく喉ぼとけの形や、
       ボーイソプラノが期間限定であることまでもが重ね合わされて、
       夏の透明感と名残惜しさが伝わってくる。


  だるまさんがころんだような初恋は
  忘れたいのにゆっくり起きる

          東京都 青木公正


  傾いでる駐輪場の自転車の
  首を整え職場へ向かう

       高島市 宮園佳代美


今週のもう1首。


  江戸川の花火の間の鉄橋を
  貨車淡々と渡ってゆけり

        柏市 塩田淳文



(万智さんの最新エッセイ集、神保町PASSAGEで購入。
 サイン入りです。短歌多数収録)