コロナ禍でよくなったことのひとつは
オンライン配信イベントが定着したことだ。
自分の興味関心を辿って予約すれば
自宅がキャンパス、レクチャールームになる。
九段理江さん、柴田元幸さんの特別対談を
有料(税込 1,650円)で購入した。
(2024年3月2日収録/プロデュース:cotogotobooks 木村綾子)
『東京都同情塔』(新潮社)で第170回芥川賞を受賞した作家の九段さん。
ポール・オースター『冬の日誌/内面からの報告書』(新潮文庫)が
合本・文庫で出版された翻訳家の柴田元幸さん。
メモを取る。
以下は柴田さんの発言から。
ーアメリカの小説はジェンダー(性)、クラス(階級)、レース(人種)の
3大テーマから離れられない。
日本の小説家はそれ以外の領域で勝負するとよいのでは。
ー「セクハラ」「パワハラ」など四文字言葉として流通するようになると
日本語で定着した印。
「コミットメント」「アイデンティティ」などは
まだ音節が長いままなので日本社会で使うと周りから「浮いた」感じになる。
ーニューヨークでイベントで有名作家とイベントをやり、
20人しか集まらないことがあった。
あの街での集客は難しい。
ー翻訳は最初と最後(cosmeticと呼ぶ推敲作業)が一番面白い。
AIに丸投げするのはもったいない。
ー日本の若手作家から感謝されることがある。
自分が翻訳した英米小説からinspireされることが多いと言う。
海外作品は日本の別の作家の作品から影響を受けるのと違い、
imitate(模倣)にはならないし、したくてもできない。
(九段は柴田の翻訳したポール・オースター『孤独の発明』にinspireされたと発言)
ー生成AI全盛の時代になりつつあるが、
自分はもうじき「ゲーム・オーバー」な年齢なのでよかったと思う。
(大学で教えている学生がAIを使ってレポートを提出した疑惑があるとき
採点をどうするか、など)
いま若かったら大変だった。