商品に物語を求める気持ち

他の街ならいざ知らず、
地元で行列の店があればとりあえず並んでみる。
昨年夏にオープンしたワッフルの店Pisolinoである。


たったひとりの店員が顧客の注文に応対して、
冷蔵庫のタッパーウェアから出しては箱に詰めて
勘定するので行列ができる、
というのが大方のブロガーの観察記録だった。



僕は勘定を待つ間に店員に質問してみたのだが、
その答えでその人がオーナーでなく
アルバイトであることが分かった。
アルバイトが悪いわけでは無論ない。
けれど味はともかく、
その事実にはどうしても興ざめしてしまう。
なぜだろう。


僕の願望では、
小さな店で、しかも行列ができるような店は、
志のあるオーナーが経営していて、
顧客と直に接触してほしいのだ。
それでこそ行列に価値が生まれる。


しかし、それは顧客側の勝手な願望かもしれない。
リーズナブルな値段で、
人気のあるワッフルを売っているなら
誰はばかることなく、商売すればいいはずだろう。



  (写真上: レアチーズのワッフル)


僕は物語を求めている。
価格や味はもちろんだけれど、
そのすべてを語り尽くしても語りきれない物語を
200円しない商品にも求めているのだ。


物語を読むことができなかったワッフルは、
普通においしいワッフルの味がした。